1年生でも「探究」は成立するのか。
1年生の国語で、子どもは自分で課題をもち、考え続けられるのか。
物語文の授業で検証した実践です。
この実践で向き合った問い
1年生の国語の物語文は、どうしても
「教師が問い、教師がまとめる学習」になりがちです。
けれど本当に、
低学年では、課題をもって読み、対話を通して考えを深める学びは難しいのか。
この問いが、今回の実践の出発点でした。
実践の前提条件(リアルな状況)
- 学年:1年生(2学期当初)
- 教科・単元:国語「けんかした山」(物語文)
- ICT環境:タブレット操作経験あり(ただし操作習熟は限定的)
これまでの学習では、
課題設定や振り返りを部分的に取り入れることはしてきましたが、
単元全体を貫く形では整理できていませんでした。
この単元で大切にしたこと
本単元では、探究のプロセスを
単元全体に位置付けることを意識しました。
特に重視したのは、次の3点です。
- 全体で共通のめあてをもつこと
- その中で、児童一人一人が「自分なりに意識したい課題」をもつこと
- 情報収集 → 整理 → 表現 → 振り返りの流れを、何度も経験すること
個別最適な学びと協働的な学びが、
同時に、相互に機能する状態を目指しました。
授業の流れと、実際の様子
① 課題設定
単元の導入で、全体の共通めあてを確認しました。
その上で、「今日はどんなことを考えたいか」を
児童が自分なりに意識できるよう声をかけました。
この段階では、まだ言葉にならない児童も多く、
“もてたらよい”くらいの温度感で扱っています。
②〜③ 音読と情報収集(一斉→個別)
一段落分を全員で音読し、場面の概要を共有します。
その後、文章と挿絵を対応させながら情報を集めました。
- 文と挿絵を線で結ぶ
- 登場人物の様子や場面の変化に着目する
1年生でも、視点が明確だと個別に集中して取り組めることを実感しました。
(最初に一斉の時間を取ったのもその意味が強いです。)
④ 話し合い(選択制)
話し合いは、
- ペア
- グループ
- 教師との対話
の中から、児童が自分で選びます。
この段階では、
「どう進めればいいのか分からない」
「周りの様子をうかがう」
といった姿も多く見られました。
ここは、迷いが出て当然の場面だと捉えています。
⑤ 全体共有(モデル提示)
一人の児童が、
「どの文と、どの挿絵をどう結んだのか」を発表しました。
プロジェクターで拡大した教科書に、
直接線を引きながら説明することで、
思考の過程そのものを可視化しました。
⑥ 再度の話し合い
モデルとなる発表を挟んだことで、
児童の話し合いの質が明らかに変わりました。
- 理由を説明しようとする
- 文章を根拠に、挿絵の表情や動きを読み取る
- 読み取りの違いを修正し合う
表面的な理解から、一段深い読みへとつながっていきました。
⑦〜⑧ 情報の整理と表現
話し合いで読み取った内容をワークシートに整理し、
場面の様子を絵で表現しました。
「なぜこの表情なのか」という問いに対し、
文中の言葉を指さしながら説明する姿が多く見られました。
⑨ 振り返り
全体のめあては挙手で確認し、
個々の課題はワークシートに記入して振り返りました。
タブレットでの振り返り共有も検討しましたが、
端末操作の習熟度を考慮し、今回は見送りました。
児童の変容
当初は不安そうだった児童も、
視点が共有されることで、自信をもって対話に参加するようになりました。
- 文章を根拠に気持ちを考える
- 理由を言葉で説明する
- 感覚的な表現にとどまらない
こうした姿から、
物語を深く読もうとする態度の育ちを感じました。
この実践から見えてきたこと
低学年であっても、
探究のプロセスを単元全体で回すことは可能です。
また、個別最適な学びは、
進度の自由化だけでなく、
- 学び方を選ぶこと
- 対話の質を高めること
といった視点で捉える必要があると再確認しました。
成果と課題
今回は、活動ごとに区切りを設け、
教師が流れを整理しながら進めました。
学習の進度を委ねることも検討しましたが、
1年生の発達段階では、見通しをもてず迷う姿が多く見られたためです。
今後は、
トレーニングを積み重ねながら、
少しずつ学習の流れを児童に委ねる時間を増やしていきたいと考えています。
次につながる視点
この実践は、
- 他の物語文単元
- ICTを活用した振り返り
- 学び方の選択を広げる環境づくり
へとつながっていきます。
(※関連記事はこの下にまとめています)
最後に
今回の実践を読んで、
「これは、どうなのか?」や
「ここは、どういう意図?」、
「もっとこうしたら・・」などのご意見がありましたら
ご自由にコメントにいただければと思います。
あなたの意見で、私の授業が変わります。
そして、子どもの学びが変わります。

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