強く心に残る
ICT活用の話題になると、空気が少し変わる瞬間があります。
便利さや可能性が語られる一方で、
どこかで言葉を選びながら話す人がいます。
「便利なのは分かるんだけどね。」
「悪いとは思わないんだけど。」
「でも、少し気になることがあって。」
ICTに慎重な先生の言葉は、しばしば前置きから始まります。
そして不思議なことに、その言葉が強く心に残ることがあります。
なぜなのでしょうか。
推進の言葉は、すでにたくさんある
学校の中で、ICTの良さを語る言葉は増えました。
・個別最適な学びにつながる
・協働的な学びが広がる
・学習の記録が残る
・共有が簡単になる
どれもその通りです。
実際に使ってみると、便利さを実感する場面も多くあります。
だからこそ、ICT活用を前向きに語る言葉は、すでに十分に存在しています。
そんな中で聞こえてくる「慎重な言葉」は、
少し違う響きを持ちます。
慎重な言葉は、ブレーキではなく観察かもしれない
ICTに慎重な発言は、ときに「消極的」と受け取られることがあります。
変化に後ろ向きなのではないか、と感じてしまうこともあります。
けれど、よく聞いてみると、その言葉はICTそのものを否定しているわけではありません。
・本当に子どもの学びにつながっているか
・目的より手段が前に出ていないか
・時間の使い方は変わったか
・負担は増えていないか
こうした問いが含まれていることが多いのです。
それはブレーキというより、観察に近いのかもしれません。
変化のスピードの中で、見落としそうなものを確かめようとする姿勢です。
速さの中では、問いが置き去りになりやすい
ICT活用は、ここ数年で急速に進みました。
環境が整い、研修が行われ、実践が広がりました。
このスピードは、大きな変化を生みました。
同時に、問いを持つ時間を短くしたのかもしれません。
・なぜ使うのか
・何が変わったのか
・何が変わっていないのか
こうした問いは、すぐに答えが出ません。
だからこそ、スピードの中では後回しになりやすい。
慎重な言葉は、その置き去りになりそうな問いを、もう一度手元に戻してくれます。
「慎重さ」が守ろうとしているもの
ICTに慎重な先生の言葉には、ある共通点があります。
それは、子どもの姿を基準にしていることです。
・子どもは本当に理解しているか
・関わりは深くなっているか
・学びの実感はあるか
ICTの話をしているようで、実は子どもの話をしています。
だからこそ、その言葉は強く残ります。
ICTの是非ではなく、教育の本質に触れているからです。
推進と慎重さは対立ではないのかもしれない
ICT活用の場面では、
「推進」と「慎重」が対立して見えることがあります。
けれど、本来は対立ではないのかもしれません。
進める力と、立ち止まる力。
どちらも必要なはずです。
もし進む力だけになれば、目的を見失うかもしれない。
もし立ち止まる力だけになれば、変化は起きないかもしれない。
両方があることで、進む方向を確かめながら歩くことができます。
言葉が刺さった理由
あの言葉が心に残ったのは、
ICTの話だったからではないのかもしれません。
変化の中で、何を大切にするのか。
その問いを思い出させてくれたからかもしれません。
ICTに慎重な言葉は、
変化を止める言葉ではなく、
変化の意味を確かめる言葉なのだと思います。
そしてその問いは、これからも何度も必要になるのだと思います。
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一つの問いから、また別の問いが生まれていきます。
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