夏休み明け・・・
「夏休み明け、子どもたちをどう迎えればいい?」
「1学期の学級づくりを、2学期にどうつなげればいい?」
「9月はうまくスタートできたけれど、10月・11月になると学級が少し停滞してしまう……」
小学校教員にとって、夏休み明けは学級経営を改めて考える大切な時期です。
そんな「2学期の学級経営」に焦点を絞って書かれているのが、鈴木邦明先生の『夏休み明けの学級経営 子どもとつくる45の2学期習慣』です。
本書の大きな特徴は、2学期の学級づくりを一気に完成させようとするのではなく、9月から少しずつ土台をつくり、10月・11月に関係性や学びを広げ、12月以降は子どもが動く学級へつなげていくという考え方にあります。
「夏休み明けの学級経営」に悩んでいる先生だけでなく、2学期の学級をもう一段階成長させたい先生にも参考になる一冊です。
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『夏休み明けの学級経営 子どもとつくる45の2学期習慣』とは?
『夏休み明けの学級経営 子どもとつくる45の2学期習慣』は、帝京平成大学の鈴木邦明先生が著した小学校教員向けの学級経営書です。
明治図書から刊行され、208ページにわたって、2学期の学級づくりについて45の「習慣」という形で具体的に紹介されています。
本書の基本的な考え方は、
「2学期の学級づくりは、ゆっくりスタート。少しずつ自立へ。」
というもの。
夏休み明けからいきなり1学期と同じペースに戻すのではなく、子どもたちの生活リズムや人間関係、学習への集中を少しずつ取り戻していきます。
そして、2学期後半には、
「教師が学級を動かす」から「子どもが学級を動かす」へ。
そんな学級づくりを目指していきます。
この本の最大の特徴は「2学期を時系列で考えられる」こと
学級経営の本というと、
- 学級開き
- ルールづくり
- 子どもとの関係づくり
- 授業づくり
など、テーマごとにまとめられているものが多いです。
もちろん、それらも大切です。
しかし、この本は少し違います。
「2学期のいつ、何をするのか」
という時間軸をかなり大切にしています。
本書は、
- 9月~10月前半
- 10月後半~11月
- 12月~3学期
という3つの時期に分けて構成されています。
これは、実際に2学期の学級経営を考えるときに非常に使いやすい構成です。
本書の全体構成|45の「2学期習慣」を時期ごとに整理
■ 第1章:土台をつくる習慣【9月~10月前半】
最初のテーマは、
「まず、立て直す」
です。
夏休みを終えた子どもたちは、1学期とは少し違った状態で学校に戻ってきます。
そこで最初から、
「さあ、2学期も頑張ろう!」
と教師のペースに戻そうとするのではなく、
- 生活リズム
- クラスの関係性
- 学習への集中
を少しずつ取り戻していきます。
生活リズムを取り戻す
例えば本書では、
「スロースタートをする」
という習慣が紹介されています。
夏休み明けだからこそ、子どもたちが学校生活へ戻っていくための時間を意識的につくる。
これは、2学期のスタートを「教師が何をさせるか」ではなく、子どもが学校生活に戻っていく過程として考える視点だと感じます。
ほかにも、
- 夏休み終盤に家庭でリズムをつくる
- 宿題に生活リズムのことを入れる
- 午後に体を動かす機会をつくる
- マズローの欲求段階説を知る
といった習慣が紹介されています。
「クラスの関係性」を取り戻す視点も面白い
第1章では、学習面だけではなく、
「クラスの関係性を取り戻す」
ことも扱われています。
例えば、
- 遊びながら夏休みのことを紹介する
- コミュニケーション系のレクリエーションに取り組む
- 運動会練習で肯定的に認め合う
- くじ引きを多用する
- 「助けて」と言える環境をつくる
といった習慣です。
ここは、個人的にも本書の特徴が表れている部分だと感じます。
「学級経営=ルールや規律を整えること」だけではなく、
子ども同士が関わり直すことも、2学期のスタートに必要な学級経営
として捉えているからです。
■ 第2章:つながりを深め、学びを広げる習慣【10月後半~11月】
第2章になると、少しずつ学級を「動かす」段階へ進みます。
テーマは、
「つながりを深める」
そして、
「学びを広げる」
です。
ここでは、
- 協力し合う学級
- 授業での発言や対話
- 2学期の中だるみ
という3つの視点から習慣が紹介されています。
「感謝の時間を継続的につくる」
個人的に注目したいのが、
「感謝の時間を継続的につくる」
という習慣です。
一度だけ「ありがとうを伝えましょう」と活動するのではなく、継続的な習慣として取り入れる。
これによって、
「友達のよさに目を向ける」
「誰かに支えてもらっていることに気付く」
という学級の文化を少しずつ育てていくことができます。
学級経営を「教師が子どもに働きかけるもの」だけではなく、子ども同士の関係性そのものを育てていくものとして捉えられる点が、本書の面白さです。
授業の「対話」を活性化する習慣も収録
第2章では、
- デジタルでのマナーを学ぶ
- 保護者を巻き込む
- ホワイトボードを活用する
- 自由掲示板を活用する
- 小さな会議を開催する
といった習慣も紹介されています。
特に、
「小さな会議を開催する」
という発想は、子どもが学級のことを自分たちで考える機会を増やすという意味で興味深いところです。
教師がすべてを決めるのではなく、少しずつ子どもに判断を委ねていく。
この考え方が、第3章へつながっていきます。
■ 第3章:子どもが動く学級になる習慣【12月~3学期】
そして、本書のタイトルにある、
「子どもとつくる」
という部分が最も強く表れてくるのが第3章です。
テーマは、
「子どもが動く学級になる習慣」
です。
ここでは、
- クラス運営を子どもに任せる
- 失敗を恐れない雰囲気をつくる
- 3学期に向けて準備する
という3つの視点から構成されています。
「自己決定の機会を多くする」
本書では、
「自己決定の機会を多くする」
という習慣が紹介されています。
これは、個別最適な学びや主体的な学びを考える上でもつながりのある視点です。
教師がすべてを決めるのではなく、
「どうする?」
「どちらを選ぶ?」
「自分たちはどうしたい?」
と、子ども自身が決める場面を増やしていく。
その積み重ねによって、学級の中で子どもが動く場面が増えていきます。
「クラスの仕事をデジタル化する」も収録
ICT活用を学級経営につなげたい先生にとって、面白いのが、
「クラスの仕事をデジタル化する」
という習慣です。
本書は単なる「学級レク集」ではありません。
ICTを活用しながら、
子どもが学級運営に関わる仕組みをつくる
という視点も含まれています。
「失敗を恐れない学級」をつくるという視点
第3章には、
- 教師の失敗談を聞く
- 失敗紹介タイムを設定する
- 「先人の失敗」について調べる
- 負けるが勝ちゲームに取り組む
- 良い笑いを意識する
という習慣もあります。
ここは、学級の心理的安全性を考える上でも興味深い部分です。
「失敗しないこと」を目指すのではなく、
失敗しても大丈夫だと思える学級
をつくる。
そのために、教師自身の失敗を語ったり、失敗を題材にした活動を取り入れたりする。
2学期後半になってくると、学級の中にも「慣れ」が生まれます。
だからこそ、こうした習慣によって、子どもが安心して挑戦できる雰囲気をつくるという発想が出てきます。
45番目の習慣「0学期だという意識をもつ」
本書の最後に紹介されている45番目の習慣が、
「0学期だという意識をもつ」
です。
ここが、この本の構成の面白いところです。
2学期を、
「12月まで頑張って、冬休みを迎える」
で終わらせない。
その先にある、
3学期、そして次の学年
まで見据えて2学期後半を過ごします。
つまり、
2学期を「今の学級を完成させる期間」として見るのではなく、次のステージへつなげる期間として考える。
そんな見方ができます。
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この本を読んで感じた一番の魅力|「2学期を設計できる」
この本の一番の魅力は、45個のアイデアそのものだけではありません。
私が面白いと感じたのは、
「2学期全体をどう設計するか」という視点が得られること
です。
例えば、
9月
「まずは学校生活に戻る」
↓
10月
「友達との関係をつくり直す」
↓
11月
「対話や協力を広げる」
↓
12月
「子どもに任せる」
↓
3学期
「次の学年へつなげる」
というように、学級の成長を時間軸で考えることができます。
この視点があると、
「今週は何をしよう?」
という短期的な学級経営から、
「この時期だから、こういう経験を積ませよう」
という学級経営へ変わっていきます。に見える
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こんな先生におすすめ
① 夏休み明けの学級経営に不安がある先生
まずおすすめしたいのは、2学期のスタートに不安を感じている先生です。
「夏休み明けに何をすればいい?」
というところから、具体的なアイデアを探すことができます。
② 2学期の学級がマンネリ化してしまう先生
9月は順調だったのに、
「10月くらいから少し学級が落ち着かなくなってきた」
「子どもたちが慣れてきて、何となく停滞している」
ということはありませんか。
本書では、10月後半~11月の「中だるみ」を意識した習慣も紹介されています。
③ 子どもに学級を任せていきたい先生
本書は、
「教師が学級を動かす」から「子どもが学級を動かす」へ
という流れが明確です。
子どもに自己決定の機会を増やしたい先生や、学級経営の中で「任せる」を増やしたい先生には特に参考になります。
④ 学級経営を「年間」で考えたい先生
「学級開き」だけではなく、
1年間を通した学級の成長
を考えたい先生にもおすすめです。
特に、
「2学期をどう過ごせば3学期につながるのか」
という視点が得られるのは、本書ならではの魅力です。
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この本は「読む本」というより「2学期の学級経営を考える本」
個人的には、本書を最初から最後まで一気に読む必要はないと思います。
むしろ、
今の時期に必要な習慣を探す
という読み方がおすすめです。
例えば9月なら、
「生活リズムを取り戻す」「クラスの関係性を取り戻す」「学習への集中を取り戻す」
という第1章から選ぶ。
10月・11月になったら、
「協力し合う学級」「発言や対話」「中だるみ」
という第2章を見る。
12月以降は、
「子どもに任せる」「失敗を恐れない」「3学期につなげる」
という第3章を見る。
このように、2学期の「学級経営カレンダー」のように使えるのが、本書の大きな魅力です。
『夏休み明けの学級経営』を読んで考えたいこと
この本を読んで、私は「2学期の学級経営では、急いで完成させようとしないことが大切なのではないか」と感じました。
夏休み明けには、
「早く1学期の状態に戻さなければ」
と思ってしまいがちです。
しかし本書が示しているのは、
「戻す」だけではなく、「次へ進む」ための2学期
という考え方です。
最初は生活リズムを整える。
次に、人とのつながりを取り戻す。
そこから、対話や協力を広げる。
そして、少しずつ子どもに任せていく。
こう考えると、2学期の学級経営が単なる「長い2学期」ではなく、
子どもたちが自立していくための長い学びの期間
として見えてきます。
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まとめ|2学期の学級経営に「見通し」を持ちたい先生へ
『夏休み明けの学級経営 子どもとつくる45の2学期習慣』は、夏休み明けの具体的な学級経営アイデアだけを集めた本ではありません。
本書の魅力は、
「2学期をどのように過ごし、3学期、そして次の学年へどうつなげるか」
という時間軸で学級経営を考えられることです。
特に、
- 夏休み明けの学級経営に悩んでいる
- 2学期の学級づくりに見通しを持ちたい
- 10月・11月の中だるみを防ぎたい
- 子ども同士の関係性を育てたい
- 子どもに学級運営を少しずつ任せたい
- 3学期につながる学級経営をしたい
という先生には、かなり使いやすい一冊だと思います。
45の習慣をすべて実践する必要はありません。
「今の自分の学級には、どの習慣が必要だろう?」
と考えながら、一つずつ取り入れていく。
そんな使い方が、この本には合っているのではないでしょうか。
📖 書籍情報
書籍名:『夏休み明けの学級経営 子どもとつくる45の2学期習慣』
著者:**鈴木邦明
出版社:**明治図書出版
刊行:**2025年8月18日(明治図書公式)
ページ数:**208ページ
ISBN-13:**978-4-18-341222-5




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