【ICTを使うかどうかで悩んだ授業の記録|使わなかった選択も含めて】
ある日のこと
その授業は、もともとICTを使う予定でした。
一人一台端末で写真を撮り、
気づいたことを共有し、
画面上で友達の考えを見る。
流れは、きれいに組み立てていました。
でも前日の放課後、
ふと迷いが生まれました。
「本当に、今この学級に必要なのは端末だろうか。」
今回は、その迷いと、
実際に“使ってみた”からこそ見えたこと、
そして“使わなかった”選択も含めた記録です。
完成された実践ではありません。
揺れながら判断した、授業づくりのリアルです。
使おうと考えた理由
低学年の生活科。
校庭で見つけた春を共有する活動でした。
ICTを使えば、
- 写真で記録できる
- 拡大して細部まで見られる
- 全員の発見を瞬時に共有できる
学びが広がるイメージは、はっきりしていました。
むしろ、「使わない理由」がないように感じていました。
実際に使ってみて見えたこと
当日、端末を持って校庭へ出ました。
子どもたちは嬉しそうに撮影します。
けれど、教室に戻ってから
いくつかの“つまずき”が見えてきました。
① 画面の中で完結してしまう
写真は撮れている。
でも、
「どうしてそれを撮ったの?」
「どこが不思議だったの?」
と尋ねると、言葉が出てこない。
“撮る”ことが目的になっていました。
② 操作が思考を上回る
低学年では、
写真の選択・トリミング・投稿などの操作だけで
かなりのエネルギーを使います。
本来向けたかったのは、
- ・春の変化への気づき
- ・友達との比較
- ・理由を考えること
でも実際は、
「先生、送れません」
「間違って消しました」
対応に時間が取られ、
思考が細切れになっていきました
③ 共有が“眺める時間”になる
全体で写真を見ました。
確かに多様な発見があります。
けれど、
発言は広がるよりも浅く流れていく。
次々と写真が切り替わることで、
一つの対象に立ち止まる時間が短くなっていました。
では、使わなかったらどうだったか
次の時間、あえて端末を使いませんでした。
写真ではなく、
スケッチとことばで記録する形に変えました。
すると、
・線の太さを変えながら何度も描き直す姿
・「なんでここだけ色が違うの?」と隣に聞く姿
・一枚の絵を囲んでじっくり話す時間
立ち止まる時間が増えました。
思考が、ゆっくり進み始めた感覚がありました。
ICTを使わなかった選択は、後退ではない
誤解したくないのは、
ICTが悪いわけではないということです。
実際、
後の単元では共有の効率性が大きく生きました。
ただ、この単元、この学級、この時期においては、
「まずは対象をじっくり見る」
ことを優先したほうがよかった。
使うかどうかは、
常に目的に従うべきだと改めて感じました。
立ち返った問い
授業後、ノートにこう書きました。
- 今、育てたいのは“操作力”か、“観察力”か?
- ICTがあることで、思考は深まるか、速くなるだけか?
- 子どもは、対象をどれだけ見つめているか?
ICTの有無ではなく、
子どもの学びがどう変わったか。
それを見取ることが、
授業づくりの出発点だと感じています。
最後に
ICTを使うかどうかで迷うことは、
これからも何度もあると思います。
大切なのは、
「使うこと」が目的にならないこと。
そして、
使わない選択もまた、
前に進むための判断であること。
この記録が、
あなたの教室での小さな判断のヒントになればうれしいです
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