【給特法はなぜ変わらないのか「定額働かせ放題」の構造と現場のリアル】
「制度が変われば、働き方は変わるのか?」
前回の記事では、
埼玉県の残業代請求訴訟から
「教員に残業代が出ない構造」
を整理しました。
では、その根本にある制度――
給特法は本当に問題なのでしょうか。
この記事では、
- 給特法の仕組み
- なぜ問題視されるのか
- なぜ変わらないのか
を整理した上で、
現場の教師がどう向き合うべきか
まで踏み込みます。
給特法とは何か(シンプルに理解)
給特法とは、
「残業代を払わない代わりに、給与を一律4%上乗せする制度」
です。
1972年に導入されて以降、
50年以上続いています。
なぜ「定額働かせ放題」と言われるのか
構造はシンプルです。
- どれだけ働いても給与はほぼ同じ
- 残業時間に応じたコストが発生しない
つまり、
仕事を増やしても“誰も困らない設計”
になっている点に問題があります。
給特法の本質的な問題
ポイントは2つです。
① 長時間労働を止める仕組みがない
民間であれば、
- 残業が増える → 人件費が増える→ 抑制が働く
しかし教員は、
働いてもコストが増えない
ため、抑制が効きません。
② 業務が増え続ける構造
教育現場では、
- 新しい施策
- 保護者対応
- 事務業務
が積み重なり続けます。
それでも、
「誰がやるか」ではなく「とりあえず教員がやる」
となりやすい。
なぜ制度は変わらないのか
ここが一番重要です。
実は給特法は、何度も議論されています。
- 中央教育審議会での検討
- 働き方改革の議論
- 制度見直しの検討
しかし結果は、
大きな変更には至っていない
理由はシンプルです
・財源の問題
残業代を出すと莫大なコストになる
・業務の特殊性
労働時間で測りにくい仕事が多い
・現場の複雑性
一律ルールが逆効果になる可能性
つまり、
「変えたくても簡単には変えられない制度」
なのです。
業務の正体:なぜ減らないのか
2019年の整理で、教員の業務は3つに分類されました。
① 学校以外が担うべき業務
② 教員でなくてもよい業務
③ 教員の業務(だが削減可能)
一見すると、
「①②を減らせばいい」
ように見えます。
しかし現実は、
- 外部委託の人材不足
- コストの問題
- 結局教員に戻ってくる
という構造があります。
ここで再確認すべきこと
前回の裁判でも示された通り、
- 教材研究
- 保護者対応
- 授業準備の大部分
は、
労働時間と認められにくい
領域です。
そしてこの部分こそが、
**教員の仕事の“本体”**です。
では、教師はどうすればいいのか
ここがこの記事の核心です。
結論はシンプルです。
制度に依存しすぎないこと
現実的な対応
- 仕事の優先順位を決める
- 「やらないこと」を明確にする
- 業務を抱え込まない
- ICTで効率化する
重要なのは、
「全部やる前提」を捨てること
です。
本当に危惧すべきこと
制度以上に深刻なのは、
教職の魅力低下
です。
- 労働に対する対価の不透明さ
- 長時間労働の常態化
- 改善の見通しの不透明さ
これらは、
「選ばれない職業」
につながります。
まとめ
給特法の問題は単純ではありません。
- 制度に課題はある
- しかし簡単には変わらない
だからこそ必要なのは、
現場レベルでの最適化
です。
締め
制度改革を待つだけでは、現場は変わりません。
一方で、
「働き方を選ぶ力」
は、個人でも持つことができます。
この問題は難しいですが、
考え続けること自体に意味があります。
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