【「定額働かせ放題」はなぜ終わらないのか】
「教員は定額働かせ放題」
この言葉を、一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。
残業代は出ない。
それでも仕事は終わらない。
現場にいると、こう感じるはずです。
「制度の問題は分かる。でも、明日の仕事は減らない」
この記事では、教育ニュースでも大きく取り上げられた
埼玉県の残業代請求訴訟をもとに、
- 何が問題だったのか
- 判決は何を示したのか
- 現場はどう受け止めるべきか
を、現場目線で整理します。
埼玉県教員残業代請求訴訟とは
2018年、埼玉県の公立小学校教員が、
長時間労働にもかかわらず残業代が支払われないのは違法だとして提訴しました。
しかし結果は、
最高裁で上告棄却 → 原告敗訴(2023年3月確定)
つまり、
「教員に残業代が出ない仕組み自体は違法ではない」
という判断が維持されました。
原告の主張(ポイント整理)
本件の主張は大きく2つです。
① 労働基準法に基づく残業代請求
② 国家賠償法に基づく損害賠償請求
しかし、いずれも最終的には認められませんでした。
判決の核心:なぜ認められなかったのか
① 残業代請求について
裁判所は、いわゆる「給特法」に基づき、
- 教員の職務は特殊性が高い
- 一般的な労働時間管理になじまない
という理由から、
残業代が支払われない仕組みは違法ではない
と判断しました。
② 国家賠償請求について
一方で重要なのがこちらです。
裁判所は、
「業務量が過大で、時間外勤務が常態化している場合、管理職には調整義務がある」
と認めています。
ただし本件では、
そのレベルにまでは達していない
と判断され、請求は棄却されました。
現場が衝撃を受けたポイント
この裁判が大きな話題になった理由は、
「何が労働時間か」が具体的に示されたことです。
■ ポイント①:在校時間=労働時間ではない
認定基準はシンプルです。
「校長の指揮命令下にあるかどうか」
■ 労働時間と認められたもの
- 朝自習の準備
- テスト採点
- 通知表作成
- 校外学習準備 など
■ 認められなかったもの
- 教材研究
- 提出物確認
- 保護者対応
理由は一貫しています。
「教員の自主的判断によるもの」
■ 最大の論点:授業準備は“5分”
特に議論を呼んだのがここです。
授業準備は1コマあたり5分のみ労働時間と認定
これは多くの教員にとって、
現実とかけ離れている
と感じられるポイントでしょう。
なぜこんな判断になるのか
ここは冷静に整理しておく価値があります。
授業準備には、次のような特徴があります。
- やろうと思えば無限に時間をかけられる
- 教員によって質も時間も大きく異なる
- 管理しすぎると専門性を損なう
つまり、
「どこまでが業務か」を線引きしにくい仕事
なのです。
だからこそ裁判では、
形式的に切り分けられたとも言えます。
本当に危惧すべきこと
この判決で一番深刻なのは、
残業代の話そのものではありません。
教職の魅力低下です。
- 長時間労働が前提
- その一部は“労働と認められない”
- それでも給与は変わらない
こうした構造は、
「あえて選ばない職業」
になりかねません。
実際、教員不足はすでに顕在化しています。
この問題をどう捉えるべきか
このニュースを読んで終わりにしてしまうと、
何も変わりません。
重要なのはここです。
制度はすぐには変わらない
だからこそ、
自分の働き方をどう最適化するか
が問われます。
現場でできる現実的な対応
- 仕事の優先順位を明確にする
- 「やらない仕事」を決める
- ICTで効率化する
- 思考を言語化して整理する
これらは小さなことですが、
消耗を防ぐ“実効性のある対策”
になります。
まとめ
今回の裁判は、
- 制度の限界
- 現場との乖離
を明確にした出来事でした。
一方で裁判所自身も、
「現状は実態に合っていない可能性がある」
と示唆しています。
つまり、
問題は終わっていないどころか、これからが本番です。
締め
変わるのを待つだけでは、現場は変わりません。
だからこそ、
「自分の働き方をどう守るか」
という視点が必要です。
次回は、「給特法と教員の働き方」について、
さらに踏み込んで整理していきます。
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